経費にできる・できないの判断基準——個人事業主が迷うグレーゾーンを整理する

公開: 2026-05-12
経費確定申告個人事業主節税

個人事業主として確定申告を始めたとき、最初に壁にぶつかったのが「これって経費にできるの?」という問いでした。カフェで打ち合わせした代金、勉強のために買った本、仕事に使っているスマートフォン……判断に迷うものが次々と出てきます。

税務の専門家ではない立場から、自分が実際に調べて試行錯誤したことを共有します。あくまで一般的な考え方の整理であり、個別の税務判断は税理士にご確認ください。

経費かどうかを判断する基本の問い

「この支出は事業のためのものか」——これが判断の出発点です。

所得税法では、事業所得を計算するうえで「必要経費」として認められるのは、「その年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るために直接要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とされています(所得税法第37条)。

難しい言葉が並びますが、要するに「収入を得るために必要だったか」が判断軸です。

よく迷うケース別の考え方

カフェ代

打ち合わせや仕事目的でカフェを使った場合、「会議費」や「交際費」として計上できます。ただし「ただ家が暑いから涼みに行った」は事業目的とは言いにくい。

私が気をつけているのは、レシートの裏に「誰と何の打ち合わせ」「一人作業・資料作成」など用途をメモしておくことです。後から見返したとき、事業との関連が明確に説明できるかが大事です。

一人でノートパソコンを広げて作業した場合も、業務目的であれば計上する人は多いです。ただ、税務調査があったときに「なぜその場所での作業が必要だったか」を説明できる状態にしておくのが望ましいと思っています。

スマートフォン代

仕事でも使うが、プライベートでも使う——これが典型的な「家事按分」の対象です。

たとえば業務利用が50%と判断するなら、月の通信費の50%を経費に算入します。按分割合の根拠を持っておくことが重要で、「業務での使用時間」「連絡先の割合」などで説明できるようにしておきます。

私は最初、曖昧なまま「とりあえず50%」にしていましたが、ある時期から使用ログを1週間だけ記録して割合の根拠を作るようにしました。

書籍・セミナー代

業務に直接関係する書籍は「研修費」や「新聞図書費」として計上できます。「直接関係する」というのが曖昧に感じるかもしれませんが、「業務上の知識習得のために買った」であれば多くの場合は該当します。

趣味と業務の境界が難しい場合があります。たとえばWebデザイナーがデザイン関連の書籍を買う——これは問題なく経費でしょう。一方、直接業務と関係のない分野の本は説明が難しくなります。

セミナーも同様で、業務スキル向上や情報収集が目的であれば「研修費」として計上できます。

飲食費

接待交際費は少し注意が必要です。得意先や取引先との飲食は「接待交際費」として計上できますが、事業規模に比して過大な金額は否認されるリスクがあります。

打ち合わせ相手の氏名・会社名・目的をレシートにメモしておく習慣をつけると、記録として残りやすいです。

一人での昼食は、原則として経費になりません。「打ち合わせ先に向かう途中の昼食」という理由付けも、基本的には認められにくいと考えておくほうが安全です。

「グレーゾーン」への向き合い方

経費として認められるかどうかが明確に白黒つかないケースは多くあります。重要なのは「説明できる状態にしておく」ことだと思っています。

税務調査は確率的には低いですが、もし調査があったとき「なぜこれを経費にしたのか」を自分の言葉で説明できるかどうかが判断の目安になります。

「これは経費にできるのか」と不安になる支出については、以下のことを記録しておくと安心です。

帳簿に記録することの大切さ

判断と同じくらい大事なのが記録です。経費として計上するには、帳簿に記録し、領収書などの証憑を保管しておく必要があります。

青色申告であれば複式簿記での記帳が原則で、証憑の保存期間は7年とされています。

私はちょうぼっち(keiri.codese.net)で日々の帳簿をつけていますが、入力しながら「これは何費だろう」と考える習慣が自然とつきました。科目を選ぶたびに経費の考え方が身につく感覚があります。

まとめ

最初は判断に迷うことが多かったですが、記録する習慣をつけるうちに「どう説明するか」を考えながら支出する癖がつきました。完璧を目指すより、説明できる状態を積み上げていくのが現実的だと感じています。