帳簿と書類の保存期間——何を何年残すのか

公開: 2026-08-22
帳簿保存期間青色申告個人事業主経理

領収書やレシートを何年残せばいいのか。私は最初、全部まとめて7年だと思っていました。実際に調べてみると、区分ごとに年数が違い、しかも所得の金額や消費税の立場によっても変わります。

捨ててはいけないものを捨てると取り返しがつかないので、一度きちんと整理しておきます。


青色申告の場合

区分具体例保存期間
帳簿仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など7年
書類:決算関係書類損益計算書、貸借対照表、棚卸表など7年
書類:現金預金取引等関係書類領収証、小切手控、預金通帳、借用証など7年
書類:その他の書類取引に関して作成し、または受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)5年

前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の方は5年間となります。

区切りが分かりやすいのは、お金の動きそのものに関わるものは7年、取引の付随書類は5年という整理です。領収証と預金通帳は7年、請求書や納品書は5年。同じ「紙の書類」でも扱いが違います。

白色申告の場合

区分具体例保存期間
帳簿:法定帳簿収入金額や必要経費を記載した帳簿7年
帳簿:任意帳簿業務に関して作成した上記以外の帳簿5年
書類決算に関して作成した棚卸表その他の書類、業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類5年

白色申告でも記帳と保存の義務はあります。「白色だから帳簿は要らない」というのは誤りです。個人で事業や不動産貸付け等を行うすべての方に、記帳と帳簿書類の保存義務があります(所得税の申告の必要がない方も含みます)。

消費税の課税事業者は別枠で7年

ここが見落としやすいところです。

消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等や、インボイス発行事業者として交付した適格請求書の写し及び提供した電磁的記録については、上記に関わらず7年間保存する必要があります。

所得税の区分では「その他の書類」として5年だった請求書も、消費税の課税事業者なら7年になります。2割特例が終わって本則課税に移る方は、ここの年数が延びる点に注意が必要です。

自分が交付した適格請求書の写しも対象です。発行しっぱなしにせず、控えを残しておく必要があります。

雑所得でも書類の保存義務がある場合

事業所得ではなく雑所得の場合も、規模によっては保存義務が生じます。

令和4年分以降、前々年分のその業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方は、その業務に係る現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。

副業の規模が大きくなってきた方は、確定申告の要否とは別に、この義務を確認しておく必要があります。なお、記帳と帳簿保存の有無は事業所得と雑所得の区分にも影響します。

保存していないと加算税が重くなる

国税庁の資料には、こう書かれています。

売上げに関する帳簿を保存していなかったことや、帳簿の売上げについての記載が不十分なことが税務調査において把握された場合は、加算税が重くなることがあります。

保存は「あとで見返すため」だけの話ではありません。保存していないこと自体にペナルティがあるという理解が要ります。

電子取引データは紙で保存できない

もうひとつ重要な点があります。

請求書や領収書などに相当する電子データをやりとりした場合には、原則、その電子データを一定の要件の下で保存する必要があります。

メールやWebで受け取った請求書は、印刷して紙で保存する方法が認められなくなっています。この点は電子取引データの保存義務に詳しく書きました。

保存期間の議論をする前に、そもそも保存できる形になっているかを確認しておく必要があります。

実務としてどうするか

私は次のようにしています。

  1. 年ごとにまとめる。 区分ごとに分けるより、年で箱を分けて中で分類するほうが破棄のときに楽
  2. 迷ったら7年残す。 5年で済むものを7年持っていても困りません。逆は困ります
  3. 電子で受け取ったものは電子のまま。 印刷して紙で保存し直さない
  4. 帳簿はソフトの中に残す。 会計ソフトを使っていれば帳簿の保存はソフト側で完結します

2番は割り切りですが、区分の判断を毎回するコストのほうが高いと感じています。保管場所に余裕があるなら、統一してしまうほうが運用は続きます。

帳簿については、日々の記帳がそのまま保存になります。私は自分用に無料のちょうぼっちを作って使っていますが、どのソフトであれ、入力していれば保存要件は自然に満たせるのがいいところです。

まとめ

内容は本記事執筆時点(2026年8月)の国税庁「個人で事業や不動産貸付け等を行う方の記帳・帳簿等の保存について」に基づきます。個別の判断は所轄の税務署または税理士にご確認ください。


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